咆哮(佐々木恵真)
2月6、7日の2日間、仙台演劇工房10―BOXで、仙台舞台芸術フォーラム2011→2021東北プログラム「咆哮(ほうこう)」が上演された。そして今回、なんとこの舞台のワンシーンに私も出演させていただいたのだ。 ラジオの番組に寄せられるリスナーさんのメッセージにある会話部分を、毎回楽しんで演じていたのを石巻在住の女優三國裕子さんが聴いてくださり、オファーをくださったことがきっかけだった。私は新しい世界をのぞけるまたとない機会だと思い「わーいやります!」的なノリで参加を決めた。しかし、お稽古が始まるや否や猛烈に後悔した。 この作品は、震災から8年、吐き出せない思いを描いたものだ。 共演する俳優さんたちは皆、地元出身のプロの方々で、この重いテーマをその表現力で堂々と演じ上げている。 そんな中、素人の私がいきなり登場するのだ。 お稽古が進むにつれ「この作品に私は必要なのだろうか」「私でいいのだろうか」と思い始めた。 役どころは、石巻出身ではない30代のセールスレディー。30代というところには目をつむっていただくとして、ひとり明るく無邪気に石巻の美しい景色に感動しているセリフが続く。 私は「あ、この何とも言えない申し訳なさや、私なんかが‥という気持ちどこかで感じたことがあるな」と思い出した。それは震災後、ラジオ石巻が臨時災害放送局となり、さまざまな情報を伝えるため私もマイクの前に座った時。そうだ。あの時の気持ちだ。 「仙台であの日を迎えた私なんかが担当していいのだろうか」。あの時もそう思っていた。あれから10年。今回のこの役を演じる事になったのには意味があるのだと思う。 咆哮は3月12日頃まで配信でもご覧いただける。そしてその収入は、震災伝承団体へ寄付されることになっている。よろしければぜひご覧ください。