「同行二人(どうぎょうににん)」(佐藤千代)
同行二人を辞書で引くと、四国巡礼の遍路などがそのかぶる笠に書き付ける語。弘法大師と共にあるという意。と記されている。 先日、三陸自動車道を走行しているとカーラジオから流れてくるラジ石のパーソナリティーの声を聞きながら、同行二人って人生のさまざまな所で自分の傍らに寄り添ってくれる人、事柄、物、全てに当てはまるのではと感じた。ラジオからの声はリスナーさんが寄せてくれた石巻弁による原稿を関東出身の後藤恭子氏が忠実に読んでは四苦八苦している様子が伝わってくる。内容は金銭に関するもので「ジヌ、ん??ジヌって何だろう?」 私、届くはずないのに「恭子ちゃん、ジヌって銭、銭だよー」っと叫んだ。 するとすかさずドライブレコーダーが「前方に注意してください!!」と叱ってくる。 ラジ石の石巻弁講座を担当して長い恭子氏、声に出してメールを反復していたらすぐ分かったらしく「あー、銭のことですか??お金のことなんですね。フフフ、ありがとうございます」と、明るくテンポ良く次へと進んでいく。それにしても根っからの東北人でさえ微妙に異なるイントネーションの違いに戸惑うことがあるのに、よくここまでこなせるようになったのだなあと、彼女の音楽性の高さを感じた。多分、音符を思い描いて方言をマスターしたのかもしれない。そんなことを考えながらも、しっかり前を見て運転しているのにまたもやドラレコは前方に注意しろとのたまうのだ。これ以上前向けない!!と怒り心頭に発して思わずドラレコをにらみつけたものの、また前を向けと言われそうですごすごと引き下がったのは言うまでもない。悔し紛れに「同行二人は、今の私に寄り添ってくれる相手がいいなあ」。暇なし叱られるドラレコ先生よりもラジオがいい。この歳まできたら弘法大師も面白く生きよと言ってくれそうで。