「高橋匡太 光の贈り物」(青木絵美)
現在開催されているリボーンアート・フェスティバルの作品の一つ、高橋匡太さんの「光の贈り物」。石巻かほくの紙面にも色とエピソードが毎日掲載されている。 京都在住の高橋さんは、光や映像を使った作品で、国内のみならず海外でも活躍されているアーティストだ。「今会いたい人に送りたい色」を募集して、石ノ森萬画館を日替わりの色で照らすと聞いた時は、正直半信半疑だった。 ただ、新聞やラジオという地元メディアと一緒に作品を作りたいという強い思いを語る高橋さんに、心を動かされた。そしてラジオ石巻では毎日夜8時から、その日の色を紹介し、誰に送りたいのか、なぜその色なのか、エピソードを朗読する特別番組を放送することになった。 エピソードがメールで届き、私はすぐに収録に取り掛かった。しかしなかなか進まない。なぜなら、思いのこもったエピソードを朗読していると、涙があふれて声が出なくなってしまうからだ。「こんなにも温かい思いを持った人が石巻にはたくさんいるんだ」ということを再認識し、この街がまた好きになった。また、これほどまで市民に寄り添った作品だったのかと胸が熱くなった。今は、素晴らしい作品に関わらせていただけたことに心から感謝している。 放送時間の関係で朗読の後には音楽を流しているのだが、エピソードからいろいろなことを想像して選曲している。これは私からの贈り物でもある。あくまで想像なので、エピソードを寄せた本人が聞いてピンとこないこともあるだろう。それでも私もその思いに寄り添っていきたいと、悩みながら選んでいる。 9月25日にはライトアップされた石ノ森萬画館を背景に、石巻ゆかりの役者陣による朗読会が行われる。コロナ禍で外出もままならない状況なので、その様子はラジオでも届けたいと考えている。リスナーの皆さんに寄り添うことをこれからも忘れずにいたい。