「好きこそ物の上手なれ」(青木絵美)
今から20年以上前、まだ学生だった頃に見たテレビ番組でとても印象に残っている言葉がある。 漫才師のオール巨人さんが講師になって、お笑いを志す若者を育てるという企画だったのだが、オール巨人さんは24時間お笑いのことを考えろと言っていた。23時間しか考えてなかったやつは、1年で365時間の差がつくのだと。そして「時は金なり言うけど、あれはちゃうで。時は、命やで」。その言葉は今も頭の中で響いている。 私がラジオの世界に飛び込んだ時、周りの誰よりもラジオが好きだという自負があった。平然とそう言ってのけるくらいに。そして、24時間ラジオのことを考えようと思った。大好きだったラジオの「中の人」になれたのだから。 ラジオに関わるようになって10年が過ぎた今、ようやく24時間ラジオのことが考えられるようになった気がする。24時間というのはもちろん言い過ぎだが、仕事終わりに階段を降りながらふと、ラジオのことを考えている自分がいるのだ。自分でもおかしくなってしまう。 また、仕事以外にネット配信のラジオもやっている。もうすぐその放送も100回を超える。これを東京のディレクターさんに話したら「俺なんか仕事だけでうんざりなのに、よくやるね。本当に好きなんだね」と言われた。 ラジオが好きなのには理由がある。子どもの頃に聞いていた小森まなみさんの番組が原点だ。小森さんはどこまでもリスナーに寄り添う人で、優しさが電波と共に届いてきた。私にとってラジオ=小森さん。もう引退されて、ラジオでその声を聴くことはできないが、私は小森さんのような温かいラジオの世界をつくりたいと思っている。電波が心と心を結ぶような番組をつくっていきたい。 いつか、小森さんの元リスナーで今パーソナリティーをしている人たちに呼び掛けて、同じ時間に小森さんの曲を流そう!みたいなことを、日本全国でやれたらいいなとひそかに企んでいる。