「10年半」  (後藤恭子)
            東日本大震災から今年9月で10年半。震災発生時に局にはいなかったものの、直後の日和山のアンテナ下や石巻市役所から放送したこと、メールや電話もつながらない中、東松島市役所の災害対策本部に通い、情報をメモしたノートを持って自転車で蛇田の局舎に向かったことなどを思い出す。給水車が来る時間に並んで水汲みをしたこと、その水がとても重かったこと、スーパーに入るための長蛇の列のあちこちから「生きてたの!よかった!」と再開を喜ぶ声やそうではない報告の声があったことも。 震災後、ラジオ石巻では市民の皆さんから震災当時の話を聞き、放送し続けている。毎週月曜と火曜午後3時からの「市民とつなぐあなたの出番です」では、出演いただいた方から次の方を紹介いただくリレー形式で、震災当日の出来事や、その後の避難状況、復旧に関して、現在がんばっていることなどを聞いている。また、毎月第一、第三土曜日午前8時からの番組「石巻アーカイブスプロジェクト」では、震災を声で記録していくことをコンセプトにさまざまな方に出演いただいている。生放送のコーナーは約20分。収録番組は約30分。どちらも出演する方は「そんなに長い時間話せるだろうか」と心配されるが、逆に時間が足りなくなることが多い。話しているうちに記憶がよみがえる方も多く、「なぜ涙がでるんでしょうね。」とハンカチやティッシュを手にされたり、収録時間が延びていく。 最近、震災当時のラジオ石巻放送音源を少しずつ文字起こししている。何度も大きな余震が来るたび注意喚起する様子や、「安否情報、地域の情報をメールで」と呼びかけたのち、多数送られてきたメールを次々に放送している内容を聞き、改めて当時のラジオ石巻の様子も確認したいと思っている。 「石巻アーカイブス〜」は10月放送分で160人(団体)に、「市民とつなぐ〜」にいたっては数え切れないほどの皆さんにご出演いただいている。ご協力いただく皆様には感謝しかない。丁寧に放送したいと思う。