「女の武勇伝」  (佐々木恵真)
娘がいよいよ出産を迎える。
里帰りしている彼女と「子どもが生まれるまでにやりたいことリスト」を作ったのだが、ほとんど「食べたいもの」で埋め尽くされた。秋保までおはぎを買いに出掛けたり、行列に並んでブラウニーを買ったり、私が気になっていたお店にも付き合ってもらったりとなかなか充実した日々だった。
そして予定日が間近となってからは、出産や育児など娘が生まれてからこれまでの話をたくさんした。
娘が生まれたときは大変だった。予定日を10日過ぎても出てくる気配がなかったため、入院しての誘発分娩となり、陣痛促進剤を投与。陣痛が3分間隔になったのだが、子宮口がまったく開かない。そのまま20時間。分娩室の横にある「準備室」なるところで苦しんだ。そこのベットが足りなくなると、なんと私はストレッチャーに移されベッドが空くまで待機となるのだ。おなかの他に背中までが痛かったあの時の苦痛は今もうっすら覚えている。その後発熱があり、娘の心音が下がってきたということで夜中に帝王切開。結局お産のフルコースとなった。
そんな話をすると娘は少しうれしそうに「ありがと」とつぶやいた。
出産はドラマである。人それぞれさまざまなストーリーがあり、私はそれを聞くのが大好きだ。
女性にとっての武勇伝なのかもしれない。
そしてこの武勇伝は人を幸せにするのではないだろうか。子どもは母の愛を感じ、母は子どもが生まれてきた時の感動を思い出し、父はきっと体を張ってわが子を産んでくれた妻に感謝したあの日を思い出すだろう。子育てに仕事にと忙しい日々でついイライラしてしまったそんな夜、頑張ったあなたの武勇伝を披露してみてほしい。きっと温かい夜になるはずだ。あ、ラジオ石巻で人気の「武勇伝2」は月の初めの金曜日23時にオンエア中!(パーソナリティー・佐々木恵真)