「謎のユニットななむし」  (青木絵美)
2017年5月。ラジオ石巻は開局20周年を記念する特別番組として20時間の生放送を行った。そのとき誕生したのが「ラジオ石巻非公認応援ユニット764(ななむし)」だ。謎のメンバー藤丸、蘭丸、桜丸で構成され、その正体は明かされていない。ラジオ石巻の周波数76・4MHzを周知したいと勝手に活動を開始。自らをオープニングアクターと名乗り、決して主役にはならず、ライブ前に1曲だけ歌っては会場を温め、ちゃっかりラジオ石巻の宣伝をする。アイドルイベントに飛び込んで、ブルーレジスタンスのスポットライトを浴びたこともあった。他にも、東松島市の市民文化祭や多賀城市のあやめ祭り、白石市のずんずんカーニバルと活動範囲を広げていった。
いよいよオリジナル曲「ラジオ石巻のうた」を発表しようと意気込んでいた矢先、コロナ禍に突入。4月に決まっていたオープニングアクトで披露する予定だったその曲は「手洗いソング」となって今も時々ラジオから聞こえてくるだけだ。
2022年。ラジオ石巻は開局25周年を迎える。5年目のななむしは、ひっそりと更なる挑戦を始めていた。「劇団ななむし」計画だ。もちろん普通の朗読や演技ではない。週2回放送しているネットラジオのリスナーから寄せられるリクエストに応える形で、いろいろなキャラクターを演じ分け、1人2役はお手の物、時には悩めるリスナーに向かって甘いセリフをイケボでささやいて励ましたりと、公共の電波ではとてもできないようなことをしている。さらには新曲にも挑戦するらしい。
私は密かに期待している。今年の25周年特番でななむしの歌声がまた聞けること、そしてネット配信でしかできないような「ななむし劇場」が真夜中にチラッとでもいいから流れることを。皆さんも胸の奥で、片隅で、少しだけ「ななむし」を応援していただけないだろうか。もがき苦しみながら前に進むななむしはきっと新たな感動を運んでくれるはずだから。(アナウンサー・青木絵美)